環境共生型の「コウノトリ育む農法」

季節はすっかり冬になりました。みなさんの家の近所の田んぼはどんな状況ですか?ほとんどの田んぼは、刈り残された稲の根もとの部分だけが冬枯れのまま…という状態ですよね。ところが、兵庫県北部の豊岡地域では、なんとこれから田植えでもはじまるの?と思うくらい田んぼにひたひたと水が張られています。いったいなぜでしょう?
コウノトリ育む農法による米づくりの特徴は、農薬の不使用または削減、栽培期間中の化学肥料の不使用、種もみの温湯消毒(薬品で消毒しない)、地元の堆肥や有機資材の活用などが挙げられ、環境に配慮した手法となっています。田んぼに冬の間にも水を張ることを冬季湛水(たんすい)、春の早い段階から水を張ることを早期湛水といいますが、これらもコウノトリ育む農法による米づくりの重要なステップです。
湛水により田んぼにはコウノトリのエサとなるドジョウやフナなどの小魚、カエルなどの小動物が生息するようになり、コウノトリの餌場となります。加えてハクチョウやカモなどの野鳥も飛来するようになります。しかし、メリットを享受するのは鳥たちだけではありません。水を張るとイトミミズが繁殖し、その糞で土壌はやわらかくなり、雑草が生えても根が張りにくいので抜けやすくなります。また、米ぬかをまいて水を張るとイトミミズのほか乳酸菌も繁殖、トロトロの層が水底にでき、それが雑草の種子を土壌に埋め込み発芽を抑制する効果があります。さらに、カモ類は水に浮いた雑草の球根も食べてくれます。つまり、除草剤なしで雑草を抑えることが可能となり、農薬の不使用または削減にもつながるのです。
食の安全が関心を集めている昨今、農薬や化学肥料を削減し自然の力を巧みに利用したコウノトリ育む農法の米づくりは注目を浴び、生産されるお米は安全・安心、そしておいしいと人気があります。面積あたりの収穫量は一般的な農法より約1割程度減りましたが、昨今の市場における食の安全や環境問題に対する意識の高さも相まって、通常栽培米の約5割くらいの付加価値がつきブランド化しています。
コウノトリ育む農法による稲の作付面積は、平成18年度が約70ha、翌19年度がおよそ130ha、20年度になると250ha前後と、倍々で増加していますが、それだけこのコウノトリ育む農法が定着してきた陰には、数々の苦労と努力がありました。湛水のタイミング、農薬に頼らない手法など、これまでにない方法ゆえ長い間試行錯誤を繰り返し技術を編み出した農業指導員のみなさんや、冒険ともいえる新しい試みに賛同・協力・実践した農家のみなさんの情熱は賞賛に値します。
「環境共生」というわが国の新しい農業のあり方を問い直したコウノトリ育む農法は今もなお進化し、全国からも注目を浴びています。また、エコツーリズムなどを通じ、産業にも好影響をもたらしています。環境の悪化で一時期生態系から姿を消したコウノトリ。彼らが再び舞い降りた大地には心地よい住みかと、それを支える地域の人たちの愛がありました。
参考資料
兵庫県立コウノトリの郷公園ホームページ http://www.stork.u-hyogo.ac.jp/
神戸新聞WEB NEWS http://www.kobe-np.co.jp/news_now/stork/
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◆この記事へのコメント
- コウノトリ育む農法ってはじめて聞きました。大変な苦労のたまものですね。
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Posted by モッサン
at 2009年01月08日 20:26
- ーー彼らが再び舞い降りた大地には心地よい住みかと、それを支える地域の人たちの愛がありました。
良い文章ですね。
私も昨年の春にコウノトリを見に行きました。
その時には、こんな大きな美しい鳥が近くを飛んでいることに不思議な興奮を覚えました。
こうして分かりやすいお話を読んで、再びその光景を思い出しました。
生き物が繋がり人もその輪に入っている、しかもそのお陰で安心・安全のお米が食べられる。
この関係を大事にしていきたい、みんなで応援をしたいですね。
食べ物にはそれぞれに自然と人との繋がりがそのドラマがあるのですね。
しかし、現実にはスーパーや生協の大型店で、食品を(※誰も説明する人がいない売場で)
価格と表示だけを見て買うようになった。食べ物も栄養素の話がもっぱら主です。
その上、料理さえもしなくなった、素材さへ触ったことが無い知らない人が増えた。
そんなことの反省から食育推進が叫ばれてきたのだと思います。
食育というからには、こういう「自然と人との関わり」を是非とも子どもたちに教えていきたいですね。
消費者も産地提携しているお店でそんなことを教えてもらって買い物をするといいですね。
そうなれば日本の安心・安全の農(水)産物が本物が“主流”になっていく。
そうすると日本人はもっともっと健康になる。 -
Posted by 田から物
at 2009年01月09日 16:27
- 「環境共生」というわが国の新しい農業のあり方を問い直したコウノトリ育む農法を、初めて知りました。
環境にもやさしく、なおかつ米づくりにも役立つこのような新しい農法を、どんどん生み出してほしいものです。 -
Posted by koyoi-haru
at 2009年01月12日 21:55
- 米作りにもエコが取り入れられてきたような感じですね。でもとてもいいことだと思います。安全で安心して食べられる美味しいお米は誰もが食べたいですものね。
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Posted by もこもこ
at 2009年01月22日 12:38
- 今、我が伊丹市と三田市、佐用町、宍粟市と地域SNSというネットワーク繋がりがありますので今年はそのどこかで実施されている様子を拝見したいと思っています。
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Posted by いけやん
at 2009年01月22日 14:43
- 豊岡から私のところまでコウノトリだと30分もかからんだろうと思うのですが、うちの田んぼにも遊びに来てくれんかなあと、田打ち車を押しながらいつも思います。
ところで、ヒナはんはタニシが好物だとかいって、昔は、雛祭りには必ずタニシの煮しめを食べたそうです。コウノトリにちょっと分けてもらって、春の田んぼでタニシを拾って農事の事始めにいただくというような稲作りに戻したいですね。 -
Posted by 雄町
at 2009年01月23日 12:05
- コウノトリが巣立って行きましたね。
しばらく前でしたがニュースで伝えられました。
自然が戻り、田んぼが復活すれば野鳥だって住みやすくなります。
おコメだって自然に近い減農薬、有機栽培が進めば安心・安全に食べれます。
コウノトリくんたちとコメ作りが共存する事で大切な自然が守られるのですね。 -
Posted by いけやん
at 2009年02月03日 07:15
- 環境だけでなく、「共生」っていろんなことに必要な事だと思います。
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Posted by もこもこ
at 2009年02月03日 09:34
- コウノトリを自然に戻すのもなかなか大変なようですね。
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Posted by モッサン
at 2009年02月03日 19:11
- 今年もコウノトリくんに頑張って水田を守ってもらいましょう。
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Posted by いけやん
at 2009年04月07日 07:20
- 田んぼに今はカエルぐらいしかいなくなりましたね。
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Posted by モッサン
at 2009年04月07日 20:35
- 自然の力や動物の力を借りて農業を推進する事はエコそのものですね。
共存共栄でごはんが美味しく食べられる事に感謝!! -
Posted by いけやん
at 2009年05月07日 07:20
- 新潟のこうのとりの話を聞くと、繁殖も容易なことではありませんね。
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Posted by モッサン
at 2009年05月07日 20:29
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効率を求めるばかりが優先し、自然を壊してきた近代農法を見直し、自然回帰と食糧生産の両立が出来た事は古人の知恵以上の素晴らしさがありますね。